一般社団法人 日本道経会

コラム

あらためて よい行いを

巻頭言
平成29年5月10日
  • 一般社団法人 日本道経会 理事
  • 北海道支部 代表幹事
  • 株式会社 吉山塗料店 代表取締役
小坂 好弘

「科学とは真理を探究することです」もう50年も前のことですが、私が大学の人文学部に入学した初めての授業での教授の言葉でした。科学を理科的なものと思っていた私はその勘違い気づき、なにか学術的、学究的な雰囲気を感じ、大学とはなんと素晴らしいところなのかと感じた良い思い出です。

その十数年後、初めてモラロジーと出会えたのですが、「道徳科学」という言葉が飛び込んできました。道徳の真理を深く考え明らかにしていく学問なのかと、なんの違和感もなく、ごく自然に受け入れることができ、この時もまた今まで思っていた道徳観とは違う道徳なのだろうと、大きな期待を感じた瞬間でした。モラロジーは「それがすべてではない」と知るのは、ずっと後になってからのことでした。

わが社では毎朝「月刊朝礼」(㈱コミニケ出版)を輪読しています。3月21日のタイトルは「いいことナルシスト」でした。読まれている方も多いでしょうが、冒頭部分を少し引用させていただきます。
「放送作家の小山薫堂さんは、飛行機でトイレを使うと、必ず洗面台の周りを、ペーパータオルで拭いてから出るそうです。次の人のために、きれいにするだけでなく、自分は優しい人だなと思える瞬間を、意識して作るのだといいます」「誰も見ていないところで、このようなことをしている自分の姿に満足する」いいことは自己満足でもいいと結んでいます。

40年ほど前「良い行いを良い心で」と教わりましたが、以来私自身の大きな指針になっています。常に心にとめ、日々の戒めとしています。良い小さなことの積み重ねや継続が、知らず知らずのうちに、自然体になり、普通に「楽しんで道徳」を行うことにつながり、安心安寧の真理へ近づくものではないでしょうか。

しかしながら現実の社会を見回したとき、歴史的に見ても、政治の社会や経済活動において、「人として守るべき道」に外れている現象に、随分多く接してきました。情けなさとやるせなさを感じるのは私だけではないでしょう。
競技の社会やいわゆるマーケットでは、誰かが勝てば誰かが負けるというゼロサム社会の現実は理解できますが、少なくとも私たちの日々の実体経済においては、利益を得るものと不利益を被るものは存在しない、またあってはならないと思ってもいます。よい倫理性や道徳性を基礎にした経済活動が、すべての関係者間において、広い意味での「winwin」そして「三方よし」を実現できるものと信じて
います。
道徳も科学ですが経済も科学です。経済の真の本質を追い求めること、その実行が経営者に課せられた大きな命題だと思います。

 ㈱吉山塗料店ホームページ http://www.yoshiyama-p.co.jp/