一般社団法人 日本道経会

コラム

一族会社経営を任されて

令和5年9月19日
  • 日本道経会 埼玉支部代表幹事
  • 株式会社国分商会代表取締役
池田 正信

弊社6代目として2021年代表取締役を拝命、去る6月で早2年が経ちました。創業者一族とは血縁関係がない初めての社長として社内外から当初、不安の目で見られていることを肌で感じていました。実際に経営の舵を取ることになり、どう経営に取り組むべきか、どう社員と向き合ってゆこうか悩み、重責のプレッシャーとも戦う日々が続きました。その不安を払拭してくれたのが道徳経済一体、三方よし経営の教えでした。

これまでの道経一体の教書を改めて読み返し、社長という立場になってあらためて大事なことが何なのか気づきました。それは「企業理念」の大切さです。弊社は今年44期目を航行中ですが、これまで順風満帆の時ばかりではありませんでした。二十歳で入社し31年の従業員としての間、倒産危機も幾度となく経験しました。ただ、今振り返るとその時々の困難を克服できたのは、企業理念の存在と、そこへ社員が一丸なって取り組めたプロセスが根底にあったからだと言えます。幸いにも弊社の企業理念は三方よし経営なのです。

【株式会社国分商会】企業理念

  1. 人間として商人として「人づくり企業」で社会に貢献する
  2. 地域の環境保全を通じて社会に貢献する
  3. 顧客の満足を通じて社会に貢献する

企業理念の浸透が会社、社員の成長には必要不可欠、何よりも重要だとあらためて知ることとなった私は、その後、評価や行動規範に至るまでの社内活動を企業理念に結び付ける作業に入りました。そうしたところ、目的意識が少しずつ共鳴し、考えて仕事をしてくれる社員が増えていきました。廣池千九郎先生が説かれている「人間をつくる工場に」にもあるように、弊社では人づくりに一番注力しています。創業者精神が綴られた企業理念を浸透させ、三方善し経営をすることで一族でない者であっても経営が出来るということを道徳経済一体の学びを通じて証明してゆきたいと思います。