一般社団法人日本道経会

事業承継 ~祖父から父、父から自分へ~

水谷 圭吾
  • 有限会社 水谷ケミカル
  • 愛知互敬塾

・はじめに

弊社の事業は産業廃棄物屋、いわゆる産廃屋と世間からは呼ばれています。ですが初代の祖父の代では病院からレントゲンフィルムや写真を現像する際に発生する廃液を回収して、その廃液から銀を作成する錬成業でした。20年余り続いたこの事業に転換期が訪れます。デジタルカメラの登場です。これにより弊社の生業とする廃液の回収量がものすごく減りました。そこで当時既に事業承継していた父(現社長)が今まで回収してきた病院やカメラ屋などから廃棄予定の機械を回収し、会社に持ち帰って解体を行い、鉄、ステンレス、アルミなどの有価物を売却する現在の有限会社水谷ケミカルが出来上がりました。

医療系の機械の廃棄はレントゲンを撮影する機械や病院のベッド、産婦人科から陣痛緩和用チェアなど回収する物は基本的に大きなサイズでスペースを多くとります。そのため元々父の実家で行っていた水谷ケミカルの拠点を飛島に移しました。父はこの時の決断が人生で最も緊張が走り、夜に眠ることが出来ない日々が続いたと語っていました。そこからは徐々にですが、廃液の減少により右肩下がりであった売り上げは右肩上がりに回復し廃液減少の危機を脱することが出来ました。

 

・今後の事業計画

弊社ではこれからの事業計画に太陽光パネルの解体・処理を計画しています。30年ほど前に誕生した太陽光発電文化で、民家やビル、学校にも様々な建物の屋根に取り付けられています。太陽光パネルの寿命が約30年とされており、近い将来ありえない量の太陽光パネルの廃棄が来ます。各太陽光パネルの企業が1秒で何枚出来るかを競っていたほどなので、恐らくは膨大な量となるのが容易に想像できます。

その太陽光パネル大量廃棄時代に備えるべく、4年前に1億の投資を行い太陽光パネルシートからガラスを剥がす機械を未来創造社から購入しました。太陽光パネルを機会にセットすると枠4隅のアルミを剥がし、機械を通すと表面に付着している厚めのガラスを亜鉛で投射しガラスだけが綺麗に剥がれるという仕組みとなっています。

 

・今後の課題

上記のような事業計画を練ったとしても、弊社にとって大きな課題があります。昔からずっと悩まされている人手不足です。現在水谷ケミカルの人手はここ最近で一番少なくなっています。考えられる原因は主に3つあります。

一つ目はそもそもの問題ですが、産廃屋としてのイメージがよろしくない傾向にあるということです。私はあまり詳しいことは存じ上げないのですが、一昔前の産廃業界を牛耳っていた方々が現在に至るまでの業界イメージをあまり芳しくないようにしたと思われます。仮にそれらを抜きにしたとしても、産廃屋というのはよく思われ辛いとは思います。過去に面接に来ていただいた方に聞いてみたのですが「怖い人が多そう」とか「専門的な知識が求められそう」などといった実際は全然ないものが答えとして返ってきました。

二つ目は交通のアクセスがほぼ最悪と言っても過言ではないところです。飛島地区は近くに電車がなければ、昔はあったバスもとっくになくなりました。弊社に出勤するためには車などの移動手段は必須で、最低でも自転車が必要となります。上記の2項目は人手不足というよりかは、人が入り辛いに部類されます。

三つ目は純粋に仕事内容が体力仕事となるところです。医療系の機械の廃棄物は人命を扱うので材質も高価なものを取り扱うのが殆どであり、それらが重量物となります。パーツ一つで数十キロとなるものもあるので、一概に体力は消耗します。

このように弊社では深刻な人手不足と向き合い続けています。いつになってもこの問題が晴れることはなかったです。そして今後は自分たちが背負わなければならない課題です。今はまだ引き継ぐ段階ではありませんが、将来的には見合う実力を身に付け父が築き上げた会社を承継する時になれば、必ず立ちふさがることになります。ありがたいことに仕事はあるのですが、人手の問題でお断りしてしまった案件も何回か過去にもあります。

そのような勿体ないことを自分の代では無くしたく思います。そのために上記にあげた三つの問題の改善をしたいと考えています。三つの中で先に取り組むべきなのは三つ目の体力の消耗が激しい点です。昨今は体力仕事をサポートするべく、様々な道具が開発されています。それらを取り入れることにより社員の体力消耗を少しでも抑えるように取り組みたいです。二つ目は正直改善しようがないと考えています。昔は近くにバス停がありましたが、いつの間にか廃止されていました。

そもそも弊社は事務員も車に乗ることが割とあるので、二つ目の問題は採用条件に書き加えようと考えています。そして一つ目の業界イメージは時代と流れとともに薄まっていると考えています。近頃法律の厳しさが増す中でいわゆるパワハラと呼ばれる行為が取り締まられているので、次第になくなっていくと思いますし、もちろん我々もイメージ改善に繋がるような丁寧なお客様対応を心がけています。