第二創業と事業承継への取組み
- 日本道経会 理事
- 島根支部 代表幹事
- 株式会社さんびる 代表取締役
さんびる(前身は山陰ビルサービス)が設立されたのが、昭和52年4月。以来、平成17年に社名が現在のさんびるに変わり、翌年、平成18年に二代目社長として私の誕生日である1月5日に代表取締役社長に就任させていただきました。
私どもの仕事は建物の清掃、設備、警備と言われるビルメンテナンスの三大業務を中心に昭和38年東京オリンピックを皮切りに分業制の波に乗り、また昭和50年代の高度成長期の大きな業態変化の中で成長をさせていただきました。
この業界の良いところは継続的契約による経営の安定が最大のメリットでありますが、またそれは反面、経済の不況やご契約先企業の盛衰によって大きく左右される業界でもあります。すなわち、良くも悪くもお客様次第であるということになり、自らの経営努力が自社の盛衰にあまり左右されないということとなっています。
そんな中、先代の竹田俊美さんより受け継いだこの事業体をバブルの崩壊や様々な経済変化から「自らの意志と努力で結果が変わる企業へ」を目指し、若き社員と志を共にし、また未来へどう生きていくかを深く考えた末、考えた道が「第二創業への道」でした。
それはすなわちビルメンテナンス本体のライバルと戦う中身を、価格から品質へと変更すること、「本柱のビルメンテナンスから第二、第三、さらに第四への柱を作ることへのチャレンジ」この二つを大きな事業変化の本柱として、経営の根本からその枠組みや活動の方法、さらにお客様への品質の在り方を徹底的に見直し、さらにさんびるという企業とBtoBからBtoCと言われる地域の皆様への発信へと変化をさせてきました。
結果、お客様目線でさんびるという名称は単なるビルメンテナンスではなく、限りなく地域の皆様と関わり合う地域密着型企業へと変化をしてまいりました。この事業構図の変化は、さんびるという企業を単一事業経営ではなく、社内における多様化および多角化をした異業種が集まる会社へと変化をさせてきたお陰です。社内におけるそれぞれの商品またはサービスという物への幅広い意識や経営における考え方の土壌を作る、そんな大きな変化が起きたと思っています。さんびる本体のそうした事業形態と事業構図の変化は時代と共に社外へと伝わるようになりました。
こうした事業の変化は「第二創業」と位置付け、さんびる本体の多角化、多様化、そのものが社会から受け取っていただく企業イメージが大きく変化した瞬間でもあります。
こうした中、平成26年福岡県福岡市にある株式会社福岡ビル開発の社長より事業承継の相談からM&Aが成立しました。彼とは20年来の経営の友として同じ場所で学ぶご縁をいただき、時折悩みを聞いていました。それは会社を継ぐ人が居ないという相談でした。
さんびるの成長が前述したように大きく多様化したことで、相談者である社長が一気にさんびるへと会社を引き継いでほしいと声が掛かったことを今でも忘れません。彼とは数年事業承継について色々と相談を受け、また彼も福岡商工会議所に相談をして数名の後継者を受入れ、その一歩を踏み出すものの結局うまくいかず、最終的にさんびるが受け取り当該企業の歴史と文化を受入れ、さらにさんびるという企業の経営理念を合体しながらさんびるから投入した社長を中心に見事に事業を承継し、現在全社員100名に近い企業へと成長しています。
この経験が大きな第一歩となり、弊社の中では事業の承継そして創業者あるいは現経営者が長年に渡って積み上げてきたその企業を承継する相談の糸口として大きな社会経済の課題である受入れ企業として成長させていただきました。現在15社におよぶ企業を承継させていただき、各企業がそれぞれの企業文化や歴史を尊重しながらさんびるが持っている強みや文化を融合させ、地域や業態を超えた事業承継を実行させていただいています。
さんびるの事業変化と共に社会課題にもっと積極的に関わりたいという思いとさんびるというビルメンテナンスを含めた多様化した企業を地に足をついた事業会社として、さらに強く本業として未来へ歩み出すため、平成29年さんびるホールディングス株式会社を設立し、もっと広く、もっと安定した、もっとお役立ちしたいという願いを込めて、この会社を設立し、本年も既に5社(事業譲渡含む)がスタートしています。
日本道経会で生田泰宏会長より、「今もっとも日本経済の課題は事業承継であると思う、その課題を日本道経会としてしっかりと対応できる体制を整えたい」との強い思いを受け「日本道経会 事業承継/M&A委員会」を立ち上げ、その委員長の名を拝命させていただきました。
自身の思いや生田会長の思い、さらに事業を行い、事業を未来へ残したい、また繋いでいきたいと思いながらも悩んでおられる経営者の皆様方のお役立ちになるのであればとその役を受けさせていただき、これからも精一杯本職であるさんびる及び、さんびるホールディングスの経営活動と日本道経会会員の諸先輩方や皆様方のお役立ちになれるのであれば、東奔西走、粉骨砕身働かせていただきたいと強く思っています。