一般社団法人日本道経会

会長訪問シリーズ!「親子のアトツギ物がたり」

第6回 株式会社三国一
橋本皇子会長/光世社長/容行マネージャー 三代に聴く 後編

6.アトツギへの心境の変化と橋本家三代の絆

生田

それで自分のやりたいこともやりながら、結果自分で「よしアトツギで帰ってくるぞ」という腹づもりができたっていうのはどういうきっかけで。

容行

やっぱりコロナがあって、僕もその頃でも新宿に出てきて、町会の方とかとお会いはしてたので、コロナで潰れた飲食店さんがどれだけあったかっていうのが、僕の身にもひしひしと伝わってきたんですね。それにも関わらず、三国一は3店舗残っている。経営もできている。従業員も雇っている。これってもしかしたらすごいことなんじゃないかと思って。

あとは従業員不足が大きいですね。僕が大学生の頃にアルバイトさせてもらっていた頃とコロナ後の店の中の状況が違いすぎて、それを目の当たりにして、これはもう帰らなきゃいけないなと。僕一人行けば少しは戦力になれるかもしれないって。

生田

2020年の2月頃からコロナが始まって、街の様子が変わり、お祖父様が作ってここまで来た店は頑張っているけれども、人の不足も含めて、自分ごととしてわーっと入ってきたということやな。

会長、ご心配はあったんですかね。本当に後を継いでくれるかの不安とかは。

皇子

私、不思議にも確信してましたから。瑞浪高校に6年間お世話になって、あとはもう三代受講は何回させて頂いた?

容行

4回です。

皇子

高校の最後の時から。私は廣池博士の精神が 腹に収まるまで、三世代受講を生きている限り続けたいと思って。本人(容行)は私の世話をすごくしてくれるんですよ。迎えに部屋まで来て、荷物を持ってコートはかけてくれるし、みんながもうびっくりされるくらい。だから私は受講も手ぶらで歩かせてもらってます。光世がちゃんとそういう教育をしてくれてるからなんですけど、本当によく気がついて、私はもう世界一の孫だと思っています。

容行

僕はやろうとか、頑張ろうと意識はしていなくて、そういう教育を受けてきたのもありますし、それが当たり前で27年間育ってきていて。

光世

私の教育って今言われましたけど、父と母がいてくれたからできたんですね。私に向かってやれとは言えないけれども、父と母に向かってはやりなさいと。

私に敬語を喋ってとは言えないけれども、父と母には敬語を喋らせました。それはもう徹底的に。この人(容行)が小学校3年生の時の先生の通知簿で、「3年生でここまで完璧に敬語を使える子を私は見たことがありません」っていう評価をいただきました。校長先生にも言われました。「行ってきます」って普通言うのを橋本君は「行ってまいります」と言いますねって。

皇子

やっぱり容行の今日あるのも、瑞浪の生活でいろいろご恩をいただいて教えてもらったのはあるんだけど、やっぱりそういう遺伝子をもらっているご先祖のおかげなんで、お母さんを尊敬してご先祖を尊敬する。そういう精神があなたの運命を良くするんだと。

生田

飲食ですから多くの方が食を楽しみにくるのだけれど、味だけじゃなくて店そのものが発する空気だとか社員さんの一言だとかいうことは、根底に人づくりがあって成り立つんで、どんなに時代が変わっても街の雰囲気が変わっても、人が吸い寄せられる店づくりっていうのがね、お祖父様、お祖母様、お父さん、お母さんから一番受け継いでいるから、これからも楽しみにしてるよ!

容行

いえいえ、ありがとうございます。

皇子

ありがたいことにJALの中の本に三国一が出たり、雑誌に結構出してもらえるんですが、これっていうのは根が深くて、何十年も昔から本当に苦労して頑張ってくれた社員の皆さんの積み重ね。そしてそれをまた受け継いだ今いる人。そういう人が今一生懸命やってくれてる。やっぱり雑誌に載ったということは、社長とか会長ではなくて、現場の頑張りを忘れてはいかんっていうことですね。現場でやってくれてる人が本当に苦労してくれているわけです。だから一人一人をやっぱり育てる。どんな人でも人間として尊重して育てる。それが一番大事なことなんです。

7.三代目の決意と社長、会長からのエール

生田

すごい話を聞かせていただきました。本当に。

最後に、三代目としてね、人づくりの根幹を受け継ぎながら、今後自分としてどういう人づくりをね、若い人や国内外の人にやっていくという決意というか思いを聞かせていただければ。

容行

40年前から来ている、50年前から来ているお客さんが今でもいらっしゃるんですね。僕はまだ役職も店舗マネージャーですし、店舗に毎日、昼は絶対、夜もほぼ店舗におります。しかもその店舗の入り口のすぐにあるレジのところに僕は立つことが多いので、お客様の声をたくさんいただくんです。

まずこの飲食店として会社が70年続いていることへの本当に感謝をしてもしきれませんし、今会長がおっしゃったように、当時いてくださった方々、もう70年間ずっといてくださった方々がいらっしゃったから、今こうして続けてきてくれるお客様がいらっしゃる。これをいかに20年30年、そして自分の次の代が続くことになっても、間違えちゃいけないことを間違えないように、それだけずれなければ大丈夫かなと思うので。あとは僕の力をどんどんもっとつけなきゃいけない。つけるだけだなと思っています。

生田

素晴らしい。ありがとうございました。じゃあお母さん、エールを一言。

光世

本来なら私が継ぐはずでなかったと思っています。主人がいてくれて、私は「ちょっと端から」っていう立場でいればよかったのに、今会社の代表としてしなきゃいけない。つなぎだと思っているんですね。どれだけ良い会社でも、やっぱり続くことが大事かなと、これは細々だろうと、こんな小さな会社ですけれども、繋げなければ意味がない。数年前、3代のお客さんが来られたことがあるんですよ。おばあちゃんとお母さんと男の子。続かないとこんな絵は見れなかった。

それは父や母がここまで頑張ってくれて、そして三国一の先人先輩がいてくれて、私が今こういう風にしていられる。次代へのエールとしてはやっぱり社員を大事にしてくれて、あとは継ぐんであればどういう風にするのも自由ですけど、間違えてはいけないことを間違えなければ、たとえ会社が細くなっても次の代につなげていかれるのかなって思わせていただいています。それを期待というか、お願いしたいなと思います。

生田

じゃあ最後に皇子会長から、三代目へ。

皇子

創業者の心を大切にしてということはいつも言っていますし、やっぱり人を育てることによってサービスもうまくできるし、お料理も心を込めて造れるし、人間が一番大事で人間力を高める場、人が育つ場でないといけない。人が育つことによって自分が育つ。それだけじゃなくて、創業者の心を大切にするということは、モラロジーを信じて人心開発救済をする、そういう大きな希望と実行をやってもらいたいというのが私の願いです。

やたらに店を広げてやろうと無理をしなくても、もう三国一の不変のものは絶対守る。しかし新製品の開発、皆さんの好みに合わせたものも作ることができる。それを間違えないようにしてもらえたら100年は続くと私は思っています。

それともう一つは、人生の落とし穴は「高慢」「忘恩」「無反省」。これが一番人生の落とし穴で、それに気をつけて頑張ってもらいたい、これが私の願いです。

生田

ありがとうございます。もう我々も大変学びになりました。本当にありがとうございました。