東京支部 三方善研究会
- 組織増強部会副部会長
令和5年2月15日(水)、麗澤大学新宿キャンパスにて、三方善研究会を開催いたしました。講師に麗澤大学経済学部教授の大野正英先生をお迎えし、「廣池千九郎と渋沢栄一―三方よしと公益資本主義―」と題しご講演いただきました。
前半は渋沢栄一の思想と業績のお話で、銀行や証券取引所など日本経済のインフラを支える企業500社以上の設立に関わり、晩年は、病院や学校、国際交流など600以上の社会事業に貢献し、その活動の考え方は「論語と算盤」に現される道徳と経済の合一説で、強い国益意識に基づき、企業の発展をもとにした国力増進を図りました。特に、その企業経営者には、「武士道のように商人道がある」と説いたお話が心に残りました。
後半では、渋沢栄一と廣池千九郎博士の交流と思想の比較についてのお話がありました。二人には太い結びつきがあり、廣池博士により渋沢が影響されたであろう事も多く、共通点としては、経済を道徳に基づいたものにしなければ永続しない、人格の修養と人づくりが大事、当時の労働問題=社会主義の台頭を危機意識として道徳的解決に努めたことなどを紹介され、興味深いお話でした。そして、その道経一体思想は、現代ではより重要になり、世界経済のほうが近づいてきているとお話をいただきました。
講演をお聞きし、渋沢と廣池博士が唱えた「企業の使命、社会のために、自分の会社は何ができるのか、何を提供できるのか、それに応えない企業は長続きしない」ということを、改めて考えさせられると共に、道経一体、三方善の理解が、より一層深まった研究会となりました。