岐阜支部 夏季道経一体経営セミナー
- 事務局長
令和5年8月30日(木)に中日本生涯学習センターにて、夏季道経一体経営セミナーを生田産機工業(株)生田泰宏講師をお招きして、『徳づくりの経営』~創業104年三代続く三方よし経営について~ というテーマで、岐阜県モラロジー経済同友会と共催で開催致しました。当日は60名の方に参加していただきました。岐阜支部の澤田栄造副代表幹事をはじめ麗澤高等学校時代の先輩、同級生の方も参加していただきました。
第1講目は、会社紹介と生田家について紹介していただきました。
銅や銅合金の部品素材メーカーに納入する伸銅設備機械の製造会社で、世界に誇るオンリーワン企業であり、創業以来104年にわたり、「モノづくり」に徹し発展永続を図られました。その根底には「社員さんを大切にし」「社員さんとの信頼関係」をつくることが結果として、会社が成長し発展して行くことであるという考えがありました。
第2講目は、経営体験談をお話していただきました。
学校卒業後、アメリカで経営学を学ばれ28歳で会社に入社されましたが、先代の会社経営のやり方に疑問を持たれ、また色々提案しても相談に乗ってもらえず、先代を責めたとのこと。1999年にお父さまが急逝され、また翌年にお母さまもお亡くなりになられましたが、ご両親から受けられた数々の御恩、「我が人生の師は父」「子孫には美田を残すな、徳を残せ」と生き方を教えて頂いて、新社長として一人立ちをされて行かれたとのこと。
「モノづくりは、人づくり」であると確信をもつに至った奇跡の出来事と恩に報いる生き様についてお話していただきました。かねてから中国への進出を計画されていて入社されたばかりの中国人の社員を伴って中国・広州の国営企業に営業に行かれました。生田産機さんは無名の中小企業で最初は門前払いでしたが、何とか工場見学の許可を頂き、工場に入ると、1台の古びた機械があり、雑巾を借りてネームプレートも埃と油汚れを拭き落とすと「1963年製造IKUTA」刻印が現れたとのことでした。
香港経由で入手されたが、中国製の新品よりも精度が良く日本のモノづくりに感動と尊敬を覚えたとのこと。そこには、機械の仕様書や、図面と一緒に香港の会社と契約した際のお父様の自筆のサインがあり、一同感激、感動されたとのことです。
まさに奇跡が起こった歴史的瞬間でした。この小さな工場でお父様たちが魂を込めて製造した機械のお蔭で、中国大陸での信用を得ることになったとのことです。
中国進出について、当初は社内でも反対の意見が圧倒的であったが、また古参の社員自ら、社長の思いを実現するために自ら「自分が中国に行く」と賛同されたとのこと。それは、先代から受けた恩を、三代目社長にお返しすることが自分の務めである。社長が決めたことを実現できるように全力を尽くすことが、恩に報いることだと思う、とおっしゃって中国へ行かれたとのことです。
先々代、先代が培ってきた、社風、理念を次の世代に継承していき、オンリーワン企業として益々発展されると確信いたしました。