事業承継の伝承は!
- 日本道経会 理事
- 南九州支部 代表幹事
- アーバンアメニティ設計有限会社 代表取締役
一級建築士事務所、アーバンアメニティ設計は平成12年9月(2000年)に創業開設し、平成16年4月に法人化設立致しました。今年で25周年を迎えました。お陰様で本年5月の全国通常総会に於いて、25周年記念表彰を拝受させて頂きました。
建築設計事務所の経営は、まさに士業分野の最たる業界で、建築学の過程を終え建築事務所に入り、そこで師弟関係の下積時代から設計技術を身に着け、国家資格の一級建築士の資格を取得し、独立開業する流れとなっており、独立起業することは容易に出来易い業態です。それ故、一人アトリエ的小規模家族経営(ファミリービジネス)な雰囲気の規模となりがちです。設計デザインから現場監理まで一人で全てをこなして行かなければなりません。大変ハードな業務で、気の休まる暇もない体力勝負な世界でもあります。当然一人親方的な仕事ですから、親方が病床でも伏したら事務所経営は儘なら無くなります。
私の場合も当然その様な環境の中で、大病なく過ごせてこられたのは家族のお陰だと感謝しております。そんな中3人の息子にも恵まれ、たまたま3人共建築に興味を持ち建築学を学び、それぞれの特技を生かし修練途中です。いずれ誰かに事業承継をと考えておりますが、今いっしょに仕事をしておる次男が承継してくれるものと期待しておる処です。
建築設計の仕事は顧客の要望を聞きながら建物や設備の設計を行い、設計通りの工事が進んでいるのを確認することが業務であり、その業務は多岐にわたり、専門知識も幅広く膨大な情報を取り入れながらの作業になります。絶えず新しい情報と見識が求められながらの作業となります。そんな中、次代がどの様に事務所経営を成すべきか、伝承して行くための問題点や課題、解決方法等を取りまとめたいと考え投稿した次第です。今後の家族の意識改革とコミュニケーションの一助としたいとの考えです。
まず事務所経営が生き残るための経営課題
- 労働環境の整備
建設業界では以前3K(きつい、汚い、危険)と言われた時代がある。徐々に労働環境の企業構造に変化が見られ、新3K(給料が良い、休暇がとれる、希望が持てる)を目指し従業員を定着させるための労働環境の整備は無視できない。 - 不測の事態による新規受注の減少
先例のコロナ禍等のような事態による受注の激減による経営環境の悪化時の対応 - 建築ニーズの変化をどう読むか
建築物の嗜好、業務形態の変化に伴う建築ニーズの多様化が目まぐるしく変化している状況 - BIM.AI技術による仕事の変化
3Dの建築モデルのこの分野においては既に導入済であり、今後は利用効率をどれだけグレードアップしていけるのか、地域独自時の気候風土に合った提案をどう行か。 - 省エネ設計への対応
2050年までにCo2の排出実質ゼロを目指し、省エネの取り組みの技術的対応が不可欠 - 人材確保、働き方改革の流れ
若い技術者不足、スキル向上の勉強会研修制度の充実、長時間労働、賃金の改善取組み方 - デジタル化の波
現状かなり進めておるので、皆が共有できるネットワークシステムの構築化
上記の課題を一つ一つ潰しながら、次代が受け継げる環境を家族皆でコミュニケーションしながら課題の糸口を見つける必要があると考えております。
次に上記の経営課題を解決する方法として列記しまとめる
- Webサイトの運用
- 時代に合わせた事業展開(事業運営の多角化)
- 企業ブランディングの強化(自社だからこそ出来る設計デザインの提供)
- 労働環境の整備(在宅ワークの実施、自社独自の福利厚生の充実)
- 業務のデジタル化(BIM・3Dモデリングの最新版導入)
成功していくための経営戦略を今後どう進めるのか
- 積極的に先行投資を行う
- 人材育成・教育体制に力を入れる。(10年後15年後を見据える)
- ワンストップ体制の整備(構造・設備設計まで完結)
長期的に生き残る企業になる為には、目先だけの利益ばかりを追うのではなく、長期的な目線で計画を立て、安定的に経営する基盤を構築し、持続する企業を目指していく必要があると考えております。
「ローマは一日にしてならず」若い技術者を育てるには多くの時間を要します。又、若く事業承継してくれる技術屋の息子に一つ一つ伝承して行かなければなりません。高度情報化・技術高度化のうねりの中、日進月歩進化して止まらない時代で、其のうねりに飲込まれることなく、着実に一歩一歩ラセン階段状に昇るって行くしかないと考えております。
幸いにも日本道経会会員として道経一体思想の学び、学んだことを実践し、成果を挙げる様、今後は、更に後継者育成にも力を入れ、事業承継に邁進して行きたいと思います。