一般社団法人日本道経会

互敬塾との出会いと学び

安居 夏生
  • 神奈川互敬塾 支部長

互敬塾との出会いは、いまから17年ほど前になります。いまの勤務先である日本生命保険相互会社で前任からの契約の引き継ぎにお伺いした先が、現日本道経会神奈川支部代表幹事の斉藤正一さんでした。引き継ぎのご挨拶と契約内容について説明が一通り終わると、斉藤さんから「安居さん、互敬塾に入ってみたらどうですか?」というさほど強くもない普通のお誘いでした。

前任も互敬塾に入っていたことから、その場で入塾する事にしました。ただ入塾したものの行くきっかけもないことから、いわゆる幽霊部員のような状態になっていました。そのまま2-3年した頃に、神奈川互敬塾で全国大会を主催する事になったと耳に入ってきました。

実行委員長の寺原先輩からお手伝いを依頼され参加してする事にしてみました。当日の神奈川での全国大会は大雨となってしまい、来ていただいた方々にはご苦労をかけてしまった事をよく覚えています。講演会場から懇親会場への移動にバスを利用して車窓から横浜観光をしようと予定しておりましたが、雨でほとんどなにも見えなかった事も今でも記憶しております。全国大会に参加した事で、私の互敬塾の活動はスタートした様に思います。ひとつのイベントを一緒に作り上げる事で、仲間に入れたのかなと思います。今の新しい塾生にお伝えしたいのは、ぜひイベント(直近で千葉の全国大会もあります)に参加いただいて、互敬塾の仲間の良さを知っていただきたいと思います。

斉藤代表幹事が今でも神奈川互敬塾生にお伝えいただくのは、「一生付き合える仲間づくり」を互敬塾がスタートした時からのスローガンとしているという事です。現在の神奈川互敬塾の役員メンバーにはそれが浸透しているのですが、まだ入塾したての塾生とこれから入塾するであろう方々をその輪に巻き込んでいけるかが現在の神奈川互敬塾としての課題と思っております。

「三方よし」という言葉は、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の近江商人の言葉と言われておりますが、私の先祖も滋賀県彦根市で紙問屋をやっていた事もあり、そんな事も私が互敬塾との縁を感じる事でもありました。

単に企業や個人が利益を追求するだけではなく、社会の発展や幸福に貢献するべきという自分だけが儲ければ良いという事ではなく、相手と世間も同じ様に発展していくという考えには非常に共感しております。

また、今所属している日本生命保険へ近江商人の3つの家が出資して形成されたという、ある大学教授の論文を見たところ、そのひとつの家が安居家であったという事で、それを知ったのは日本生命に入社してから随分と経過した後だったのでなんとも間抜けな事でした。日本生命保険の3代目社長の弘世助太郎と安居喜造の手紙のやり取りがあってその実物が出てきましたので、出資していたかどうかの事実は確認出来ませんでしたが、少なくともやり取りをする関係性はあったのかと思います。

全国大会以降、互敬塾の活動を頑張っているところに、私として今後一生涯においてこれ以上の事はないであろう人生の困難に直面する事となります。2013年の春に長女が小学校入学直後に難病に侵されてしまい、そこから入退院を繰り返す事になるのですが、その時に互敬塾の先輩から「安居くん、全てのことには意味があって、越えられないものはないんだよ」と言っていただきました。その時の私は長女の病気の事でいっぱいいっぱいでしたから、こんな病気に何の意味があるんだろうと思っておりましたし、私が今まで生きてきた中での不徳が長女の病気の原因になってしまったのかと非常に落ち込んだ事を思い出します。

長女は入退院を繰り返しながらも病気と闘いましたが、2019年の秋に他界いたしました。12歳で中学一年生でした。トータル45回にも及ぶ全身麻酔の手術、何度も生死の淵をさまよいながらも強く生きて、最後の半年は自宅で看病したのちに見送りました。令和へ元号が変わった数ヶ月後でした。

そんな辛い時期にある私を支えていただいたのは互敬塾の仲間でしたし、自分の心の拠り所としておりました。今では先輩の言葉も少しですが理解できる様になってきたように思います。長女の死を乗り越えるという事は今後自分が死ぬまで難しいのかも知れませんが、付き合っていくという感覚が近いのかもしれません。

私は、今年の5月の神奈川互敬塾総会において承認され、第11代目の神奈川互敬塾支部長となりました。今年度のテーマは「道徳心〜学びを深め、あるべき姿を見つけよう〜」とさせていただきました。

11代目という事で、神奈川互敬塾の新たなスタート、セカンドステージだと考えています。創設期に活躍された塾生が卒塾され、新たな仲間を増やす事が喫緊の課題と感じております。

神奈川互敬塾は前述の通り、一生付き合える仲間作りをスローガンにしております。その素晴らしいスローガンに追加して、学びを深めながら日本道経会、互敬塾を新しい塾生にも理解してもらおうと考えております。親会の「道経一体セミナー」に互敬塾生も参加させていただき学びの機会としております。来年度も是非継続出来ればと考えております。いつも日本道経会神奈川の皆様には物心両面でのご支援をいただきありがとうございます。

今まで続いてきた神奈川互敬塾が永続すべく神奈川互敬塾のみんなでしっかりと運営してまいります。今回この様な機会をいただき関係者の皆様方には感謝いたします。ありがとうございました。

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