東京支部 三方善研究会
- 幹事
2月14日(金)17時から、麗澤大学新宿キャンパスにて、東京支部の三方善研究会を会員・互敬塾生など18名が参加して開催しました。講師には、公益財団法人モラロジー道徳教育財団企業センターセンター長の藤井大拙氏をお招きし、「「三方よし」が現代に問いかけるもの」と題してお話しいただきました。
講演の冒頭、現在の閉塞化した経済や物価高、そして上がらない賃金、一方で円安経済に伴うインバウンド需要はますます拡大し、我が国経済の景気回復が叫ばれる中、商品サービスへの価格転嫁や従業員の賃上げが課題となるが、これらには付加価値向上が必要不可欠となること。そのためには三方よしの思想が必要なのではないか。そもそも三方よしというフレーズは、SDGsが出現したこともあって、経済界においても頻出するようになったが、その論理や思想・哲学としての検討は十分でなく、現代のビジネスにおける三方よし思想の重要性を再考する必要があるのではないかとの問題提起がなされました。
そして、廣池千九郎博士の経済の捉え方は、法人も個人も一体で、人間の経済活動の全てを包含する道徳経済一体思想というものであり、「限りある経営資源の配分と調整」が経営のポイントとなること。また、現代の経済社会において我々が抱く価値観としては、サステナブル(持続可能性)とウェルビーイング(幸福)が鍵となるが、このうちウェルビーイングを高めるためには、心、体、社会的連携の3点をよくする必要があり、これにより幸福の向上に繋がること。また、三方よしの定義は、近江商人は「売手よし、買い手よし、世間よし」であり、モラロジーでは「自分よし、相手よし、第三者よし」であるが、自分よしとは決して利己的なことを意味するのではなく、自分よしにより、相手や第三者を幸福にすることを意味すること。すなわち、三方よしを実践することで周囲を巻き込み、持続可能性の向上に繋がるとの説明を受けましたが、自らの精神と肉体を磨き、他者や世間と積極的に交わり高めていくことの必要性を実感しました。
会の途中では、事例に基づくディスカッションを行いましたが、グループに分かれた参加者同士で熱い議論が交わされ、グループ毎の様々な発表に会場が大いに盛り上がりました。
講演会の後は、会場のビルの地下にある「三国一」にて、藤井講師を囲んだ懇親会が催され、講演での話を踏まえた質疑や参加者同士での会話に花が咲き、盛会となりました。